Oculus QuestでSteamVRをプレイする - Virtual Desktop基本設定
(2019/12/13追記) サイドロードの手順を加筆修正。
(2020/09/10追記)最新の内容に加筆修正。
(2020/09/23追記)公式サイトの翻訳を追加。
(2020/10/14追記)Quest2対応の確認とVirutal Desktop最新バージョンの画像に変更。
(2020/10/17追記)問題が発生した場合の対処法を追加。
(2021/02/26更新)ワイヤレスPCVR機能が公式ストア版に含まれるようになったアップデートに対応。サイドロードは不要になりました。
(2021/03/01追記)公式でアナウンスされてるトラブルシューティングを追加。
(2021/03/24追記)作者による推奨ルーターを追加。
Oculus Quest / Quest 2でPCVRをワイヤレスでプレイできるVirtual Desktopの特徴と導入方法についてご紹介します。
特徴
- 有料ソフトである(1990円)
- SteamVR, Oculusアプリがプレイ可能
- 高画質・低遅延*1
- 導入と設定が簡単
- トラッカー利用時、毎回の位置調整のキャリブレーションが不要
- ハンドトラッキング対応*2
- 安定性は環境・設定で大きく変わる*3
必要なもの
- Oculus QuestあるいはQuest 2
- ゲーミングPC(GeForce, Radeon両方対応)
- ルーター(5GHz Wifiが利用可能なもの、ルーターとPCは有線接続すること*4)
- (参考)Virtual Desktop作者による推奨ルーター*5
ASUS RT-AX86U 3万円、Wi-Fi 6
ASUS RT-AX55 1万円、Wi-Fi 6
TP-Link Archer C6 3000円台、Wi-Fi 5
TP-Link Archer A6 3000円台、Wi-Fi 5
*TP-LinkのWi-Fi 6ルーターは不具合が多数あるため非推奨
動作確認バージョン
- Oculus Quest ビルド26
- Virtual Desktop 1.20.0
- Oculus PC アプリ 26.0.0.39.502
- SteamVR 1.16.8
導入方法
1. QuestストアでVirtual Desktopを購入する
Quest内あるいはスマホアプリのQuestストアでVirtual Desktopを購入します。なおSteam版、Oculus PCストア版のVirtual Desktopも存在しますが、これらは別アプリで純PCVR向けのデスクトップオーバーレイ表示ツールです。購入後、Questを装着しライブラリにあるVirtual Desktopアイコンをクリックしてインストールを完了してください。
2. Virtual Desktop StreamerをWindowsにインストールする
公式サイトよりストリーマーアプリをダウンロードしインストールします。
Streamerが起動したら Oculus Usernameを入力しSaveをクリックします。
3. Oculus PCアプリをWindowsにインストールする
下記リンクよりダウンロードが可能です。インストール後PCの再起動が作者から推奨されています。
https://www.oculus.com/rift/setup/
4. (SteamVRをプレイしたい場合)SteamVRをWindowsにインストールする
SteamとSteamVRを以下のリンクよりダウンロードしインストールしてください。
https://store.steampowered.com/about/
https://store.steampowered.com/app/250820/SteamVR/
5. Quest上でVirtual Desktopを起動する
WiFi環境に問題がなければ自動的にPCに接続されデスクトップが表示されます。
6.(Oculus Quest 2の場合)FPSを90に設定する
7. ゲームを起動する
Virtual Desktop Gamesタブに所有している作品が追加され、選択することで起動できます。
VR作品が追加されない場合、SteamVRを起動(左下の"Launch SteamVR")したうえで、作品の実行ファイルを起動するとプレイできます。また別の方法として、タスクトレイアイコンを右クリック→"Launch Game"から作品の実行ファイルを選択して起動することもできます。
メニュー操作は、左コントローラーのメニューボタン1回押下でSteamメニューが、2回連続押下でVirtual Desktopのメニューが開きます。
問題が発生した場合
Virtual Desktop接続時ディスプレイ解像度が勝手に変わる
SETTINGS>Computers>Use optimal resolutionのチェックを外すと、解像度の変更が無くなります。
マイク、ハンドトラッキングが使えない
マイクは、SETTINGS>Audio>Microphone passthroughにチェックを入れると利用できるようになります。
ハンドトラッキングは、Quest本体で有効化したうえで、INPUT>Input Options>Handtrackingのチェックを入れるとVirtual Desktop内でも使えるようになります。
接続できない、接続が切断してしまう
- セキュリティソフトをアンインストールする(例:Avast, AVG, Norton, Asus GameFirst V, Bitdefender VPN, Lenovo Nerve Sense or Lenovo Vantage’s Network Boost feature)
Steamのエラー475が発生する、ゲームが起動しない
下記のポイントを確認してください。
- PCを再起動する
- 次のソフトをアンインストールする。Surfshark, McAfee, ESET, WebRoot, MalwareBytes, PIA, PunkBuster, Riot Vanguard
- 他のSteamVRアドオン(ALVR等)を無効化する(画像参照)
- Virtual Desktopストリーマーを管理者権限で起動する
カクツキが発生する
下記のポイントを確認してください。
- WiFiが5GHzで接続されている
- PCとルーターが有線で接続されている
- VRストリーミングのビットレートが適切である(STREAMING>VR Bitrate)
- スライスエンコーディングをオフにする(STREAMING>Advanced Options>Sliced encoding)
- 遅延モードをオンにする(STREAMING>Advanced options>Extra latency mode)
- ビデオバッファリングをオンにする(STREAMING>Advanced Options>Video buffering)
- エンコード解像度を下げる(STREAMING>VR Graphics Quality)
- レンダリング解像度を下げる(画像参照)
- Windows Xbox Game Barを無効化する
- NVIDIA ShadowPlayの機能とオーバーレイを無効化する
画質が低い
下記のポイントを確認してください。遅延は増加します。
- ビットレートを上げる(ストリーマーの"Automatically adjust bitrate"をオフにして、STREAMING>VR Bitrateを上げる)
- レンダリング解像度を上げる
- エンコード解像度を上げる(STREAMING>VR Graphics Quality)
- 色を補正する(STREAMING>GammaやAdvanced Optionsの"Increase color vibrance"や"Increase videoe nominal range"、さらにQuest本体の明度から調整)
遅延が大きい
下記のポイントを確認してください。画質は低下します。
- ビットレートを下げる(ストリーマーの"Automatically adjust bitrate"をオフにして、STREAMING>VR Bitrateを下げる)
- レンダリング解像度を下げる
- エンコード解像度を下げる(STREAMING>VR Graphics Quality)
- スライスエンコーディングをオンにする(STREAMING>Advanced Options>Sliced encoding)
- 遅延モードをオフにする(STREAMING>Advanced options>Extra latency mode)
-
ビデオバッファリングをオフにする(STREAMING>Advanced Options>Video buffering)
映像が二重にブレて見える
以下の項目のほかカクツキが発生するもご確認ください。
-
Windowsの「グラフィックの設定」>「ハードウェアアクセラレータによるGPUスケジューリング」をオフにする(出典:https://youtu.be/8Hrp59hMR6k?t=1255)
FPSが低い
OpenVR-Input Emulatorを使用しているとFPSが30~40に低下します。
-
OpenVR-Input Emulatorをアンインストールする
ゲームが正常に動作しない
作者が公開しているゲームタイトル互換性の対応表を参照してください。
VRストリーミングに接続したが画面が真っ黒になってしまう
優先するグラフィックスプロセッサが内蔵GPUになってしまっており、グラフィックボードが利用できていないのが原因です。後述の翻訳と重複しますが、次の方法をお試しください。
- モニタがWindowsに検出されていることを確認してください。一部のモニタやテレビでは検出のために電源をつける必要があります。
- デスクトップを右クリックして、NVIDIAコントロールパネルを選択し、「3D設定の管理」に進んでください。グローバル設定で「優先するグラフィックスプロセッサ」を「高パフォーマンス NVIDIAプロセッサ」にします。変更後PCを再起動してください。
その他の問題
作者による設定ガイドを参考にしてください(英語)。
その他、Virtual Deskotp公式サイトの内容を参考にしてください。大半はVRストリーミングではなくデスクトップストリーミングについての内容である点に注意してください。
以下は筆者が日本語に翻訳したものです(内容は2020/09/23のもの)。
●サポートヘッドセット
・Oculus Quest 2
・Oculus Quest
・Oculus Go
・Gear VR●PC必要動作環境
・Windows 8.1 64ビット(Windows 10推奨)
・NVIDIAあるいはAMDグラフィックボード推奨(必須ではない)
・Intel Core i5-2500K(またはその同等品)
・5GHz 802.11ac/802.11ax WiFiルーターに有線接続されたPC
・Windows Nエディションを利用の場合、Windowsバージョンにあったメディア機能パックをインストールすること●よくある質問
Q. Macに接続できるか?
MacOSのサポートは現在準備中でベータ版の状態です。詳しくはディスコードをご覧ください。また、Parallels Desktopも利用可能で、その場合ネットワークをブリッジモードにしてください(下記リンクを参照)。旧世代のMacではParallelsの設定を「デザイン」または「ゲーミング」にすることで動作するかもしれません。下記のSteamVRストリーミング機能はParallelsでは動作しません。Network Modes in Parallels Desktop
Q. SteamVRやOculus Riftのゲームをプレイできるか?
プレイできますが、VR対応のWindows10 PCが必要です(Macでは動作しません)。Oculus StoreでVirtual Desktopを購入したあとパッチをあてる必要があります。これはSideQuestを使うと簡単に行えます。SideQuestの指示に沿って開発者モードを有効にした上で、Virtual Desktopページの"Install to Headset"をクリックしてください。
一度サイドロードが完了すれば、その後はVRでVirtual Deskotp Gamesタブからゲームを起動してください。また、Oculus Riftソフトウェアのインストールも必須です。Q. Computer is unreachableと表示される
Not on same networkの警告が表示され、インターネット経由のリモート接続をしていない場合、まず以下のことを確認してください。・PCがヘッドセットと同じルーターに接続され、同じネットワーク上にあること(例えば、ヘッドセットがゲスト用ネットワークにあるかもしれません)
それでも解消しない場合は以下のことを確認してください。
・Windowsファイアウォールが全接続ブロック状態でないこと
・AvastあるいはAVGを利用の場合、ファイアウォールネットワークプロファイルがパブリックではなくプライベートになっていること
・McAfeeやNortonなどの他のウイルス対策ソフトを利用の場合は、機能を停止させるか、Virtual Desktopストリーマーを例外設定に追加すること
・PCでVPNソフトウェアが起動中でないこと
・NordVPNを起動中の場合、CyberSecとInvisibility on Lan機能を無効化すること
・ルーター設定でFull cone NATあるいはOpen NATに類する設定がある場合有効にすること
・公衆Wi-Fi(アパート施設やオフィスなど)を利用中の場合、デバイス間の通信を妨げることがよくあります。次善策として自分用のルーターを使うことができます。Shadowや他のクラウドPCサービスを利用したい場合、以下のことを確認してください。
・ルーター設定でDMZホストを一切設定していないこと
・プロバイダがDS-Liteを利用している場合、デュアルスタックあるいはIPv4に変更する必要があります。Q. Measuring bandwidthとの表示後、切断してしまう
問題の詳細を伝えるエラーがデスクトップに表示されるはずです。多くの場合この症状は以下の場合に起こります。
・グラフィックボードや内蔵GPUの最新ドライバをインストールしていない。IntelノートPCをお使いの場合、最新のIndelドライバをインストールしてください。
・ディスプレイ設定でHDR・WCGを有効にしている。
・VPNやウイルス対策ソフトがPCへの接続をブロックしている。
・AvastあるいはAVGをインストールしている(最近のバージョンはVirtual Deskotpの正常動作を妨げるのでアンインストールしてください)。Q. 接続したが真っ暗な画面が表示される
・モニタがWindowsに検出されていることを確認してください。一部のモニタやテレビでは検出のために電源をつける必要があります。
・NVIDIAノートPCの場合、デスクトップを右クリックして、NVIDIAコントロールパネルを選択し、「3D設定の管理」に進んでください。グローバル設定で「優先するグラフィックスプロセッサ」を「高パフォーマンス NVIDIAプロセッサ」にします。変更後PCを再起動してください。
・IntelノートPCの場合、最新のIntelグラフィックスドライバがインストールされていることを確認してください。Intel® Driver & Support Assistant
・Windowsの夜間モード・HDRの無効化や、モニタの色を変更するアプリ(F.Luxなど)のアンインストールを試してみてください。Q. ストリーマーアプリがインストールできない/起動しない
ウイルス対策ソフトがインストールや起動を妨げている可能性があります。Virtual Desktopを例外に追加してみてください。
Q. メディア機能パックのインストールが必要とのメッセージが表示されたが、どこで入手できるか?
こちらからインストールしてください。
Media Feature Pack list for Windows N editions
Q. デスクトップ配信の動作が不安定だが?
PCとルーター間が無線接続でなく有線接続であることを確認してください。最低でも802.11acルーターが必要で、5GHz接続を利用することが推奨されます。素早いアクションゲームを配信するにはデスクトップPCとグラフィックボードが必要です。また、NVIDIA Gamestreamを無効にしてみてください。
Q. Netflix、Huluなどのストリーミングサービスを見ようとすると黒い画面が表示されるが?
Microsoft Edge、Internet Explorer、Chrome、ならびに一部のWindowsストアアプリにはデジタル著作権管理があり、そうしたサービスのキャプチャを制限しています。この問題はFirefoxを使うことで解決できます。
Q. 特定のゲームを起動すると黒い画面が表示されるが?
仮想フルスクリーンモードで起動してみてください。
Q. 3D SBS映画を見れるか?
はい。スクリーン外部にポインタを移動しトリガーを引いて、デスクトップツールバーを出し、該当の3Dモードを選択してください。
Q. インターネットを通して自分のPCに接続できるか?
はい。ストリーマーウィンドウのAllow remote connectionsにチェックが入っていることを確認してください。また、ルーター設定でUPnPを有効化して、ストリーマーアプリが自動で必要なポートを開放できるようにしてください。もし手動でルーターを設定したい場合、TCPポートの38810、38820、38830、38840を開放してください。
過去のリリースノート
-Oculus/Steamゲームを起動するGamesタブをVRに追加
— トナ@VRChat (@tonavrc) February 21, 2020
-Cloud Computerオプション有効時、ビットレート計測を回避・選択可能に
-トラッキングロスト時マイクが停止する問題を修正
*VD公式Discord(公式サイトに掲載)よりDL可能https://t.co/UsswreAwBF
*テスト目的につきDLリンクの共有禁止
-デスクトップ映像の滑らかさを改善
— トナ@VRChat (@tonavrc) March 31, 2020
-初期接続の安定性を改善
-一部ルーターにおける接続問題を修正
-スライスエンコード有効時における目の同期問題を修正
-一部ゲームでの投げ機構の不具合を修正
-複数ゲームでの互換性問題を修正
-Oculus Linkとの互換性を修正
Virtual Desktop 1.15.2正式版リリース
— トナ@VRChat (@tonavrc) September 14, 2020
-スクリーンやキーボード越しでも手とコントローラーで操作できるように
-近距離でのポインタ操作感を改善
-一部ゲームとの互換性を修正 pic.twitter.com/qzqq7kGmSg
*1:初代Questでは当環境で画質はOculus Rift Sより少し下、入力遅延は56ms、音声遅延は294ms アップデートにより入力・音声遅延とも20~30msになった。
*2:Indexコントロ―ラーのエミュレーションではないので指は動かない
*3:おすすめの設定については次の記事も参照 Virtual Desktopを最適な設定にする - 各種設定について - トナのブログ
*4:Virtual Desktop公式サイトでも推奨されている。WiFi増設カードやドングルでWindows10 モバイルホットスポットを使用する方法は5GHzを有効にできない場合があるので非推奨。2019/12に下記増設カードで5GHzオプションが利用不可だった。日本の電波法による制限をIntelドライバ側が上手く対処できていない問題と思われる。なおQualcomm製デバイスあるいはマザーボード内蔵WiFiの場合は有効化できる可能性があり、実際にROG ZENITH EXTREME(マザーボード)内蔵のQualcomm製Wi-Fi5デバイスでは5GHzモバイルホットスポットを利用できた(電波強度の関係かスタッタリングが発生するものの、Quest2ではWi-Fi5で22msと最も低遅延を確認できた。)https://www.tp-link.com/jp/home-networking/adapter/archer-tx3000e/ https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/support/articles/000029083/network-and-i-o/wireless.html 下記ルーターはWi-Fi 6での動作に問題があることが報告されており、当該機種でカクツキが発生したら、OFDMAをオフにするかWi-Fi 5での運用をするよう案内がされている。
*5: https://discord.com/channels/564087419918483486/692030889932095529/823965370737360916